突然帯が崩壊!?衝撃の経験が着物と着付けの世界への第一歩でした

数年前、親戚の結婚式に呼ばれた私は、色留袖をいつもパーマやカットでお世話になっている
美容室で着付けをお願いしました。
担当してくださったのは店長で、常日頃から気さくに話しをして、私のヘアスタイルの好みをよく
知っていらっしゃる方なので、その日も安心して早朝からヘアメイクをお願いし、着付けも一緒に
やっていただいたのです。

 

結婚式は少し遅めだったので、長時間着物を来て過ごすのは疲れてしまうから、ということで、
たしかに「ラク」な着付けだったと思います。
特に帯は少しゆるめで、見た目はきちんとしていたので気になりませんでしたが、
実はこの「ラクでゆるめ」な着付けが恐ろしい結果となったのです。

 

結婚式場に移動してからも時間があったので、親戚や知人達と式場近くを散策して楽しんでいました。
すると、あれ?なんだか後ろから引っ張られるような・・
さらに、なにか引きずるような音、さらに後ろに引っ張られるような感覚。

 

ふりむくと、私の後ろには白く輝く袋帯の流れが延々と!!
一体何が起こったのかわからず、唖然呆然と立ち尽くしました。
大切な帯がどんどんゆるみ、外れ、背中から一本の長い長い錦糸の帯が
道を引きずっていたのです!

 

さすがに顔色をなくした私ですが、叔母が駆け寄り、さっと巻きつけてとりあえず結婚式場内に
駆け込みました。
状況を話し、ちょうどお帰りになろうとされていた着付けの方を呼び止め、
帯をもう一度締めなおしていただくことにしたのです。

 

その時着付け師の方が言いました。
どんなに楽な着付けとはいえ、帯は着物の命です、締めるべきところで
締めなければ着物を着付けたとは言えません。私ならこんな仕事で
お金は頂戴できませんよ、と。

 

同じ着物を扱う人としてのプライドがきっと憤りを隠せなかったのだと思います。
そのずさんな着付けの仕方を見て情けなく思ったのでしょう。
ショックで言葉少なかった私を励ますように
今度は絶対外れない、絶対乱れるようなことはない、と言ってくださいました。
手早い直し、美しい仕上がりに、私もようやく落ち着いて式に参列できたのでした。

 

それから私は着物にとても興味を持つことになりました。
人に喜んでもらえる着付け、きちんとした仕事と責任感。
この世界を知ってみたいと、着付け学校に通ったのです。
たった1年でしたが、簡単な名古屋帯、お出かけ用の小紋なら着付けをできるようになりました。

 

良い思い出とは言えませんが、
あの経験がなかったら着物にこのように関わることはなかったの思いますし、
着物や帯の見方や扱い方も全く変わりました。
衝撃的でしたが、新しい世界に一歩踏み出せた思い出深い経験です。